014 鍵(かぎ)



思い出したくない記憶
使い古した感情

全部その部屋の中に置いてきて
ドアを閉めて 鍵を掛けて

もう行こう 何処か遠く 知らない所へ



叶わなかった願い
届かなかった小さな手紙

全部その部屋の中に直して
ドアを閉めて 鍵を掛けて

もう行こう 音さえ聞こえない場所へ


鍵は気付かぬ内に失くなればいい

夢は知らぬ内に終わればいい










015 影(かげ)


二人歩く度に寄り添う影が
愛し合う標のようで嬉しかった

キミに少し近付けたからって
全てを知った気になった

いつまでも傍に居てくれるんだよね?

後ろからいつも抱きしめたのは
畏れを隠すための言い訳


これから何が出来るのかな
初めて見たキミの不安げな顔

できるならこんな知り方をしたくなかった よ


じゃあねとキミの名を呟いてみたのは
誰に宛てたものではなく

ただ物足りなかったから

遠のいてゆくキミの影を
追いかけもせず 見送りもせず


失くなるまで踏み留めていただけ










019 君を待つ(きみをまつ)


忘れられないこの気持ちは
何処にしまっておけば良い?

君がいない毎日に
価値なんて見出せるものなんだろうか

自問自答を繰り返す度に
時は僕の見解を超えて
あっという間に過ぎてしまった

見放されて 初めて気付いた
自分の無力さ 弱さ
君へのかけがえの無い思い

手に入れたのは意味の無いものばかりで
失った代償はあまりにも大きすぎた

それでも僕は無意識に君のことを待っている
離れていても僕はまだ君のことが好きだから

今日も部屋の片隅で
写真立ての中の君は

僕を見つめて笑っているから

 











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