追い詰められた僕らのために

捧げよう 僕からの鎮魂歌


「大丈夫かい? そんなに息切らして 青ざめた顔で走って」


何処からか響いた哂い声

妙な懐かしさを覚えた僕は
ただ傍聴者であるだけ


「辛辣ながら教えてあげよう・・・
このまま真っ直ぐ行けばやがて無の世界へ 曲がれば絶望の壁
遠回りだけど 永遠に周回するコースもある」


辺りには僕しか居ないのに
何故かこの声のままに 翻弄するばかり


「ところで行ってどうする?
まだ何も決めていないだろう もう分かっている また奪い合うんだ」


自分を犠牲にしても 手に入れようとする

僕らにとって それは欠落したもので

甘い甘い果実の様


最後にシンクロしたその言葉は
事実 僕の口から発せられたものだった

それに曖昧に脳裏に焦がして
まだ僕は 失踪していく


追い詰められた僕らのために

捧げよう 僕からの鎮魂歌


















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